ネイタル・チャートからの、気質の判断
この方法は、気休めに過ぎません。リリーのC.Aに出てくるからといって、ネイタルの基礎でもありません。少し、ネイタルが楽しめる結果になるだけです。多大な期待を持たないでください。
上記5つです。5つ目にあるチャートの運び屋は出し方が難しく、占星家によって様々な意見のあるところです。それは純然たる良い惑星を選び出すことが如何に困難かを表していて、どのような導き出し方が最良であるのかが議論されてきている理由ともなっています。チャートを読む経験を積んでいくと、理由は分からずとも、どの惑星かが最も良い状態にあるかが分かってきます。
この5つ目のチャートの運び屋のことですが、歴代の占星家たちは、様々な方法で論理的に見つけ出そうとしてきました。そして結局は、論理付けできないことを証明してしまっています。各占星家の意見が異なるのです。アクシデンタル・ディグニティーが良い場合や、エッセンシャル・ディグニティーが高い場合、他の惑星との絡みで良くなる場合、チャー トごとにウェイトが異なるので、経験に基づくしかなく、私は、「論理的に見つけ出すには無理がある」と言っています。
ただ、現時点で、西洋占星術の体系を知るには英文のものを頼るしかないところから、 様々な手法があり、背後に、きっと勘を頼るための文献があるのだろうと思わせるものがあります。が、少なくとも、17世紀以前の西洋占星術のテクストには、勘を研ぎ澄ますために占星術が存在しているなんてことを書いた文献はありません。
気質を判断するときの初期の段階では、5つ目の要素は一応、省いておきます。4つで充分に判断できます。
太陽
太陽が選ばれている理由は、最も季節のエレメントがネイタルには強く作用すると、考えられてきたからです。多くの人の気質を鑑定していくと、太陽によるエレメントが常に最重要ではないということも分かってきます。
月
月が選ばれる理由は、太陽と月によって様々な占星術の法則が組み立てられていると言っていいくらいに、法則にとって重要な惑星だからです。又、我々の住む地球に、最も近いからという理由からかもしれません。
アセンダント
アセンダントは、古代の占星術が明らかにアセンダント占星術であったことを示しています。
太陽は一個だけの要素になりますが、アセンダントは、アセンダントのロードと二分されます。
アセンダントのロード
アセン ダントそのものと、アセンダントのロードの2つのパートを参照しなくてはなりません。これも、古代の占星術がアセンダント占星術であったことを示しています。
チャートの運び屋
5つ目の要素は無くてもいいと言いましたが、本当はあった方がいいに決まっています。その惑星は、12ハウス、8ハウス、6ハウス、3ハウス、2ハウス以外にある惑星です。全ての惑星が上記5つのハウスに入っていたならば、チャートの運び屋がいないものとして判断をして大丈夫です。
用いるチャートは、ホール・サイン・ハウス・システムのものです。リリーはこれをプラ シーダス・ハウス・システムで判断をしていますが、この点でもややこしくなるだけです。
3度の重要性
次に、選び出したそれぞれの要素となる惑星たちと、3度以内でアスペクトやコンジャンク ションをしている惑星、あるいはアンティッションとなる惑星を全て洗い出します。では、何故3度なのかですが、本体同士で接合していると考えられてきたからです。
惑星は、オーブの他に3度の本体を持ちます。上記の金星と木星は接触している現在進行形を物語るものです。緊密な関係にあると捉えてもいいでしょう。つまり強い影響力を持っています。ただし、アンティッションでは、重なり合っていないといけません。つまり、角度差は上記のアスペクトなどは3度までが許されますが、アンティッションでは2度となります。(これを書いた古代のテクストはありませんが、経験則です)
それぞれの要素(太陽、月、アセンダント、アセンダントのロード)に3度以内の惑星を書き出します。そして判断していきます。
実際の体質計算です。説明の簡素化のために、ホットを H、コールドを C、モイストを M、ドライを Dと置き換えます。エレメントは4つありますが、主たるエレメントと、従たるエレメントを見つけ出す方法になります。
リリーの本にもありますが、完全に踏襲しているわけではありません。彼の方法は主だったデータを収集するものの、アセンダントが例えば ♌ のサインでH&Dだったとして、アスペクトしている惑星がC&Mな惑星の月と金星がアスペクトしていて、月も金星もC&Mなサインに入っていると、C&Mが上回るので、C&Mに変わってしまうという欠点があります。
これは平たく言うと、H&Dな入れ物にC&Mなものを2つ以上入れると、入れ物自体がC&Mな入れ物に変わってしまうということです。ガラスの器が中身によって陶器の器に変わるようなものです。これから述べる方法には、この欠点がありません。
多くのメソッドでは、アセンダントがH&Dなら、あくまでもH&Dであり、この要素がどれ位になるのかを勘案していきます。Hが1つに対してCが2つになると、C優位なHとなります。
意味が取りにくいので、私は%で表わすことにしました。結局は同じことになります。
上記の例だと、アセンダントが獅子のサインでH&Dです。3度以内にアスペクトしている 惑星が、C&Mな月、そして、H&Mな金星です。更に、彼女たちの入っているサインは、 C&Mなサイン♏なので、2つのC&Mとなります。すると
となります。これは、HCHCCとなり、Hが40%になるということです。
又、Dの方は、 DMMMMとなり、Dが20%になるということです。
従って、アセンダントの♌のサインのH&Dは、Hが40%Dが20%の 弱いH&Dとなるわけです。
アセンダントのサインが、このことでC&Mの ♏のサインに変わるわけではないのです。
● 太陽は季節によって、気質を変えます。
● 月はその見せているフェーズ(相)によります。
● 他の惑星の、エレメントの区分
土星 オリエンタル Cold & Moist
土星 オキシデンタル Dry (Hot か Cold かは、入っているサインに依存)
木星 オリエンタル Hot & Moist
木星 オリエンタル Moist (Hot か Cold かは、入っているサインに依存)
火星 オリエンタル Hot & Dry
火星 オキシデンタル Dry (Hot か Cold かは、入っているサインに依存)
金星 オリエンタル Hot & Moist 金星が Cold & Moist のはずですが体質の計算に限り
金星 オキシデンタル Moist (Hot か Cold かは、入っているサインに依存)
水星 オリエンタル Hot (Dry か Moist かは、入っているサインに依存)
水星 オキシデンタル Dry (Hot か Cold かは、入っているサインに依存)
ドラゴン・テイル オリエンタル Cold & Dry
ドラゴン・テイル オキシデンタル Dry
ドラゴン・ヘッド オリエンタル Hot & Moist
ドラゴン・ヘッド オキシデンタル Moist
● アセンダントは、そのサインの気質のエレメントが受け持つ
● チャートの運び屋(ロード・オブ・ジェニチャー)
惑星を選び出して、上記の惑星の区分に従う
西洋占星術の技術は当たり過ぎるので、途中で改変された形跡があります。占いの法則が庶民には不必要だからと、歴史上、正当なものがかき消されるように画策されたのです。今は昔のことですが、相当頭の切れる占星術師が政権の中枢に存在していたのでしょう。魑魅魍魎の類の占星術が生み出されるように頭を捻った人物がいたのです。そし て、それに成功しています。既に、ハーブの研究家であるニクラス・カルペパーが17世紀に、自 分の書にそれを嘆いて書き込みをしています。私は『星の階梯 II』の表紙の題扉の裏にそ れを和訳しました。
さて、月のエレメントの計算方法を、まだ詳しくお伝えしていませんでした。 月は(phase・相)フェーズというものが最もよく分かる惑星です。発音はフェイズの方 がよいのかもしれませんが、一般的にはフェーズで"局面"を表しています。
新月から最初の半月までが H&Mです。
最初の半月から満月までが H&D
満月から二番目の半月までが C&D
二番目の半月から新月までが C&M となります。
表があった方が便利なのでPDFファイルを用意しました。下記からダウンロードできます。予約なしでPDFファイルが見れます。https://www.horary.jp/nativ/natal1/elementcalcu.pdf
下記のチャートを基にして、体質を計算してみます。
太陽から始めます。太陽のある場所は夏ですから、H&Dです。プロセスだけを示しますので、何とかご理解ください。表にします。書き込んでいくと一目瞭然となります。
ネイタル・リーディングの本 | 推薦図書 『星の階梯シリーズ』