7~8世紀の西洋占星術の本には、確かに惑星の定義は載せられていません。土星の外側や内側に、太陽を回る天文学的な「星々」を知らなかったからです。
だからと言って、天文学的な新たに発見された「星々」を西洋占星術に取り入れてもいいといった考え方は正しいのでしょうか? 天文学的には新たな太陽系の「星々」は全て太陽の衛星です。太陽の衛星全てが、西洋占星術というジャンルで「惑星」とするのは乱暴だと思いませんか? 何か、惑星の定義があるはずです。
古典的な占星術には、惑星を定義できそうな、トレマイックな天球構造があります。
天文学的には「月」は地球の衛星ですが、占星術では「月」も惑星です。
それどころか、「太陽」も7 Planets の1つとして惑星です。
何故? 惑星の定義をせずに占星術を学ぼうとするのでしょうか?
天文学を学んでいる人に、太陽も月も惑星だと言うと、笑われるでしょう。
西洋占星術というジャンルでは惑星でも、天文学の世界では異なります。
その逆も、同じです。西洋占星術での惑星を定義しましょう。
●●●----- 西洋占星術のトレマイックナ天球構造 -----●●●
既に惑星が定義されていたといっても構わないものです。更に、時間を支配する惑星(アワー・ルーラー)を取り決める様式が整えられていました。惑星は、時間を支配する役割も持っているのです。そして、天宮構造の一層を占めています。
惑星の定義は、時間を支配することと、天宮構造の一層を持っていることです。
惑星の定義をしている西洋占星術スクールは、とても少ないものです。
天文学の惑星を、西洋占星術に持ち込むためには、惑星としての定義をする必要があります。
●●●----- 西洋占星術のトレマイックナ天球構造 -----●●●
西洋占星術で使う惑星は、上記の図のように、天球構造の一層を与えられています。また、一週間の曜日のいずれかが差配されています。太陽も月も惑星と見做します。そして、時間の支配星としての役割を担っています。土星の時間とか、木星の時間が決められていて、ネイタルなどでは、ざっくりとした人生全体を初期・中期・後期に分けるためのトリプリシティーを選択するために使われます。
海王星や天王星は天文学上の惑星であって、西洋占星術の惑星の定義を外れます。何よりも、時間を支配する役割を担っていませんから、惑星からトリプリシティーを選ぶ事もできません。海王星曜日も、天王星曜日もありません。時間を支配していない天体なのです。
惑星は、その他にもいろいろな役割を持っています。その最も大きな意義(意味合い)は、ハウスを理解する為には、惑星を知らないければ理解できないことです。海王星に密接なハウスもありませんし、天王星の意味を持つハウスもありません。
● いまだ、誰も外惑星の定義をしていません
天文学上の惑星を、何の定義上の根拠も理由も無く、西洋占星術でも惑星として扱えるという定義が無いのです。突然、天文学でも惑星だからという理由で、加えられているだけです。「惑星だから・・・」 でも、それって、天文学で言う惑星ではないのでしょうか?
何も言わずに持ち出すとは、あまりにも基本的な姿勢に無頓着です。
HP全体を読んで頂けると理解できますが、一部だけ読まれても、外惑星のことを書いていないからこのHPは詳しくないページだと判断されかねません。
一部の惑星の意味だけを出してしまうと、惑星の意味はそのくらいのものなのか、外惑星のことが書かれていない・・・ と判断されて的外れな意見も出てきてしまいかねません。
多くの人々が認識を深めて来ると、どのような事柄でも、それらの事は影響力を持つようになるのだという見解が在ります。りっぱな意見だと考えます。そのような意見に加えて、同時に、何故土星以遠の天文学的な惑星をも、占星術的な惑星として認識しても良いかという考え方も、ぜひ考察して頂きたいのです。そこまで考えられるなら、当然のように天文学的な外惑星も、西洋占星術の惑星として必要でしょう。
間違いなく海王星も天皇星も天文学的には惑星です。
しかし、どのような理由で、西洋占星術的でも惑星と言えるのでしょう?
二つ目は、
惑星のことを占星術上理解する必要があるのは、これを理解せずにハウスを理解できないからであり、サインを理解できないからです。
惑星を第一義として、惑星と惑星の結びつきの解釈からスタートをさせる方々もいらっしゃいます。金星と木星が120度だったら、とても良いとか… 土星と火星がオポジションだと、とても悪いとか... 惑星の意味をナチュラルな意味で使うのはかなり判断の後の方になってからです。
占星術上の惑星の使い方に関わって来ますけれども、惑星の役割には幾つかのものがあり、その中の一つにナチュラルルーラーとして使うというものがあります。惑星はチャートの判断における主役の座を占めているにも関わらず、ナチュラルルーラーとしての意味で使われる事は一般的に後回しにされます。ホラリー占星術では、ナチュラルルーラーとして使う前に判断を終えることも多いものです。
ですけれども、私たちは占星術全体の構造をしっかりと捉えるために惑星の意味を知らずに通り過ぎることはできません。占星術では、何モノでも、時には観念的なモノでも、空想上のものでも、7つの惑星の影響(の異なる配分の組み合わせ)によって作られていると考えます。その中でも殊に、特定の惑星がその物・概念に際立って強い影響を与えていると考えられる場合、それを称してナチュラルルーラーと呼びます。その場合、どうしてその物、現象、モノがある惑星に配当されているのかというのが、これから解説していく事柄です。
●●●----- 惑星のナチュラルな意味 -----●●●
基本的な惑星は7つです。それらの惑星はエレメントを持っているからです。エレメントを持たない惑星は、エレメントを持つサインのルーラーにはなれません。
判断の中でも殊に、特定の惑星がその物・概念に際立って強い影響を与えていると考えられる場合があります。その場合にだけ、ナチュラル・ルーラーとして惑星を使う場合があります。その時、どうしてその事象・現象・モノがある惑星に配当されて良いのか、というのがここで解説される事柄です。
ほとんどのチャートの判断で、私たちはハウスのカスプが突き刺さったサインのロードによって示される惑星を使います。しかしながら、特定の場合には、惑星と物事がナチュラルな関連付けを元々持っていて、もしも惑星が、質問の状況に依存しながら、ナチュラル・ルーラーとしての意味で私たちの注意を引き付けるなら、それも使うことができます。
ナチュラル・ルーラーの捉え方
占星術上のナチュラル・ルーラーという惑星の捉え方に慣れるには、日々の生活の中で関わってくる興味のある物に対して、言葉の翻訳を学習するように練習することが理解の王道だと伝えられてきました。が、なかなか旨くいきません。
「惑星の意味するものを把握する」 という感覚をつかむために、次の例を参照して下さい。
昔から、ナチュラル・ルーラーの意味を伝えるのに出される例は、「バラ」です。その美しさによって捉えるなら、それは金星によって支配されていると看做され、金星をバラのナチュラル・ルーラーと呼びます。方や、その棘の鋭利な事、情熱的な赤い色によって示されることに注目するならば、バラは火星となります。この視点からは、火星をバラのナチュラル・ルーラーと呼びます。ナチュラル・ルーラーを見付けるにはこのように行うので、バラは金星にも、又、火星にもなります。
他に例を探すと、日記帳は太陽の推移に関わる日々の事柄を記録するので太陽を支配星とします。別の占星家が日記帳を水星に当てはめているとしたら、同じ紙片が幾つも集まっている事、筆記すること等を観察してそうしたのでしょう。
アクシデンタル(時の変化に伴って変わる)な支配星の役割と比較すると、ナチュラルな支配星の重要性は小さいものですが、それが能弁な場合も時として生じます。惑星そのものが持っているこれらのナチュラルな意味は、時々チャートの中で重要になります。例えば、私たちが失くした日記帳を探している時に、太陽ではなく、書籍類のナチュラル・ルーラーとしての水星が頼りになるかもしれません。
チャートは時折、ナチュラル・ルーラー単独で判断ができるように強い示唆でそれを強調することがあります。そこに、決められた法則はありません。例えば、力強くカスプの上に置かれたり、場所を特定する惑星と強いアスペクトを取ったり、主要な惑星と同等のエレメントのサインに置かれたりするなど、私たちの注意を引く様々な方法で、ナチュラル・ルーラー自身が語り、惹き付けるのです。
有名なナチュラル・ルーラーとして、恋愛のホラリーの質問では、太陽を男性のナチュラル・ルーラーとし、金星を女性のナチュラル・ルーラーとして扱うことが上げられます。ネイタルの場合には、女性のチャートでは、火星が男性を示すナチュラルな表示星となります。また月は、失われた物のナチュラル・ルーラーとされていて、特に命のあるもの、迷子になった動物たちのナチュラル・ルーラーです。これらのナチュラル・ルーラーは、常ではありませんが、ハウスのルーラーの伝える情報を補佐することがあります。
多くの事象・現象やモノを七つに振り分ける作業はかなり難しく感じます。占星学に立脚した考え方を知りたいと思われるでしょうし、できれば実践的な把握もしてみたいと考えられるでしょう。その要求に応えるために、可能な限り占星術的なモノの捉え方を書くつもりです。
惑星をナチュラルに捉える観点は多岐に渡り、そのことが惑星を理解する事を困難にしている原因なのでしょう。ほとんどのチャートの判断で、私たちはハウスのカスプが突き刺さったサインのルーラーによって示される惑星を使います。しかしながら、特定の場合には、惑星と物事がナチュラルな関連付けを元々持っていて、もしも惑星が、質問の状況に依存しながら、ナチュラルルーラーとしての意味で我々の注意を引き付けるなら、それも使うことができます。
葡萄:
牛乳:
砂糖
等のような考え方で行います。
私たちが、ある物の占星術的な支配星を見つける必要にせまられたとき、そのある物の本質的な性質を捉える必要があります。例えば、携帯電話のナチュラルな意味を持つ惑星は何になるのでしょうか?
それは機械的装置であることから水星と言えます。
(水星には、人の役割を代行するという意味があります。人のする作業を代わりに機械類が行ってくれるので水星です。自動応答装置を思い浮かべると分かり易いでしょう。自動応答装置は、話すことからも人の役割を代行しています)
会話をするために使用することからも、水星を連想させます。
広い範囲に居る人とつながるので木星となるでしょう。
それは、電波を意味する月によって会話(水星)を運び(月)ます。
これらはすべて事実です。しかし、携帯電話の本質的な性質は何でしょうか。家に有る電話も、機械装置として水星ですから、携帯電話の本質は、それが何の為に(会話をする、通信をする為に)使用されるかではなく、また、どのように作用するか(機械的に、電波を操る)でもなく、携帯することに意味があると考えられることになります。すると、携帯するという本質が見えてきます。
携帯電話の本質的な機能は、持ち歩いて通信をすることです。したがって、その本質は、小さくした通信機器となります。土星は縮小するという意味があり、そして通信機能は水星です。伝播する電波は物を運ぶ月がその役割を担います。これらを統合すると、携帯電話とは、月(電波)で受発信をしながら水星の機能(会話)を仲立ちする土星(縮小した物)となります。通信に目を向けるときは水星でも、物として存在する時は土星となります。このように考えていき、惑星と一つの概念を結び付けていくのが占星術です。電波は月か太陽がその役割を担います。水星ではありません。3ハウスの項でそれを説明しています。
このようなロジック(論法)を他の物や概念に当てはめていけば、やがては、占星術の持つナチュラル・ルーラー、支配星、又は、ナチュラルという感覚を捉えるこつをつかむことができていきます。
ナチュラル・ルーラーを網羅した『ルーラーブック』の類を買うのなら、占星家の視点がしっかり書かれているものを買うべきです。それが載せられていないものは買っても意味がありません。惑星それぞれに占星家の視点が書かれていないのでは、どうやってその物のナチュラルな惑星を導き出したのかが分かりません。占星術は鵜呑みにすることを避けながら、本質に近いものを掴んでいくステップの積み重ねでできています。携帯電話の例のように、同じ物が視点の違いによって水星になったり、土星になったりするのが西洋占星術です。
アル・ビルニという占星家の本には、葡萄が太陽の所と月の所に出てきます。なぜでしょうか? 葡萄は、同じ形のものが寄り集まっていることから水星と捉えても、色が黒いから土星としてもいいものです。アル・ビルニが葡萄を太陽とした理由は、それがしばしば乾燥させて使われることから、月としたのは、蔓植物であるという理由からです。完全に一つの惑星に絞り込もうとすれば、様々な本の別の惑星の所に書かれていて、意味が分からなくなります。手掛かりは、惑星の、とある性質を捉えて把握していくロジックを見付け出して理解することです。
その為の練習には、植物や食べ物を惑星に当てはめてみることが、意外にもそのロジックを把握する近道である事が分かってきます。それと同時に練習を積み重ねることで、なぜ古くからの多くの占星家が、彼らの本の中で植物に関する惑星の意味をたくさん書き連ねてきたのかも分かってきます。
ネイタル・リーディングの本 | 推薦図書 『星の階梯シリーズ』