土星の持つ反対、反逆、謀反の意味合いの理由
土星は天球構造の中で、惑星の一番外側を受け持っています。そこは、恒星の天球と惑星の天球の境目に位置していますから、境界という意味も持っています。
物体が「存在する」というのは、境界・限界を認識する事と同時に、存在している時間と場所・位置を認識することです。物体が永遠に存在することはなく、物体が「存在する」とは、空間と時間を長い間か、短い間かに関わらず、占有していることです。土星は「境界・境い目」を表します。土星は「存在する」物体を表します。土星は「時間」を表します。土星は「位置すること」を表します。
人間と空間の境目は皮膚で、これも土星とされています。土星が境界で区分された人間の肉体そのものを第一義の惑星として受け持ります。物体を他と区別する境目の総称が、土星です。
ところで、動く天球(惑星の天球)と、恒星の天球の間には、動くと止まるという、逆向きのベクトルのエネルギーが働いています。これが土星の持つ意味「逆」、「反対」、「反駁」、「謀反」、「矛盾」などの意味につながっていきました。
境界線で、逆方向のエネルギーを一身に受けている土星の天球の意味から、上記の意味合いが土星に割り当てられました。
土星よりも遠い惑星に、発見される度に、境界や外壁、矛盾という意味は与えられていません。何故でしょうか? それは、西洋占星術の知識がすっかり失われていた時代に発見されたからです。もしも、知っている智者がいたならば、天球構造を増やしてみて考察したはずです。
しかし、その智者は同時に、時間の支配星が狂ってしまうことも予見し、やはり天球構造を構成する惑星は、7つのままで良いとしたはずです。つまり、「惑星」とは、時間の支配星でもあるからです。時間を支配していてこそ、初めて「惑星」と呼べるのです。そして、「惑星」には、独自の天球が与えられているのです。恒星たちには、全ての恒星に1つだけです。それは、星座の天球です。
※ ここでの星座は、サインとは違う、コンステレーション(星座)です。オリオン座とか、
おおぐま座と呼ばれる星座のことです。
土星が時間を支配するという意味は神話からもたらされています。巨神族のクロノスは、自分の子供に滅ぼされるという予言をされていたので、生まれた子供たちを次々に飲み込むところから来ています。ジュピターだけは母親によってかくまわれ、あるとき、自分の兄弟姉妹たちを吐き出させます。これが原因で、後に父クロノスと戦いますが、勝利を収めます。
土星が子供たちの生命の期限を飲み込むことで、時間の制限を付けたことから、時間の支配星とされています。
宇宙の本質は、共鳴するはずです。つまり、土星的な本質は、土星の変化と共に、大宇宙にも小宇宙にも土星的なものの変化として現れるはずです。
ところが、占星術的には共鳴しません。人で考えるよりも、地域で考えるとよく分かります。影響を受ける地域もありますし、影響を受けない地域もあります。月がボイドだからといって、世界中に影響を与えるわけではありません。
何故でしょうか?
ここには、宇宙が統一体として一貫しているという考え方が無いと成り立たない原理原則、が潜んでいます。
ある人が始めたことにはその時の星の位置が影響を及ぼすのに、あるいは、質問した事柄には答えを与えるのに、他には影響が及ばない、なんて不思議な現象でしょうか。スタートを切る瞬間、質問をした瞬間には、答えが潜み、その他の場合には、淡々と星は巡行するだけです。
しかも、そうでないと、西洋占星術は成り立ちません。人が何かをスタートする時や、質問をする時間は、あらかじめ決められたかのように「そこに生まれます」。これは、大宇宙が一糸乱れぬ形で運行していて、見える部分と見えない部分があるにもかかわらず、どこかで「一」として統体されているからに他なりません。
「すなわち、宇宙は無限であり無辺ですが、皆一つに統一されていて、離れ離れの物、無関係にポカンとしている物は何一つとしてないからです。二と見え、三と見え、個々別々のように思われるのは感覚の世界のことで -- 見たり聞いたり、また触れたりする、光・色・形・音・感触の奥は全部「一」と統一されているからです。」
(『純粋倫理原論』丸山敏雄著)
いわゆる垂示思想といってよく、一種の哲学の上に成り立っている学問が占星学です。
星の影響を与えられる人もいれば、その時の星々の影響を被らない人もいていいわけです。
西洋占星術が天球構造を持っていることは、思想的に階層構造をも認める考え方です。平等という考え方と矛盾するのかというと、それも包含しています。例えば、7ハウスは同等者という立場の人たちです。配偶者も7ハウスですし、同業者や、ライバルも7ハウスです。でも、同等者に違いありません。彼より優れているわけでも、7ハウスの人よりも劣っているわけでもありません。
平等ですが、階層構造をも認める考え方があります。実際に、貧富の差はあるわけですし、人生の長さの不平等もあるわけです。それを平等にしろといっても、神様がお決めになることに盾つく立場に我々はいません。
それを、なんでも平等にしろと言うのは変ですし、変だと感じないと、とんでもない事柄が幅を利かすことになります。一般的にはとんでもない事柄と見えないように、突飛な考え方がまかり通るように改変させられていきます。
私の言う、突飛な考え方というのは、宇宙の摂理にそぐわない事柄というものです。
宇宙の摂理の生物界の理の一つは、種の保存です。だからといって、何をしてもいいというわけではありません。ただ、種の保存が宇宙の摂理なのに、結婚制度が種の保存を背景にされていながら、同性結婚を認めるというのは変だと思いませんか? 同性愛がいけないと言っているのではありません。私のクライアントさんの中にも、どうしても同姓しか愛せない人がいらっしゃいます。それはそれとして認めますが、それを制度の中に置くということが宇宙の摂理に反すると言いたいのです。
もしも、同性結婚を認めるのであれば、必ず養子を取る、あるいは、親のいない子供を引き取って同時に養育もスタートするという文言を入れるべきです。ただ、楽しむためだけに人生があるわけではないのです。義務は生じて当たり前なのです。生きる義務、育てる義務です。
これらが、土星の天球に含まれた哲学的な意味合いかと思います。
モダンな占星家ジェフ・グリーンによると、土星は主観的意識の境界線を示すそうです。主観的意識というのは、何のことかは分かりませんが、境界線の向こう側は客観的意識であるとでも言いたいのでしょうか? 主観的意識と、客観的意識を区別することができるのでしょうか? 忘れたことと失ったことの区別と同じくらい難しい区分です。
土星は、意識の境界線にはなりません。土星が意識の境界線なら、それより外側の天球は意識的に認識できないばかりか、視認もできないでしょう。私たちは、土星の天球の外側にある恒星たちを見ることができます。恒星の天球が客観的な意識を表すのでしょうか? 古典的な西洋占星術の中で、そんな理論は読んだことがありません。
土星の冷たさ(コールド)は、多大な運動量を持たない(遅い)状態であることからと、太陽や月の位置から遠いことから考えられています。もう片方のドライという質によって、他と切り離される力を持っています。このことから、土星は、孤独、独居、悲しみを示すとされます。しかしながら、昔からドライはそんなに強くは言われず、強いコールドを持つとされてきました。なぜなら、夜中に冷たい石を外に出しておくと、露をうつからです。
土星は7つの惑星の中で一番遅い動きをしています。従って、一番重いものを運んでいて、月が最も軽いものを運んでいると考えられたのは、何ら不思議なことではありません。物質の中で一番重く思われたのは大地であり、当然のように土星に結び付けられました。
熱を放つ太陽から最も遠く離れた惑星なので、コールドとされます(サインでは、♌のサインのオポジションである♒のサインを与えられています)。一番暗い惑星ですので、黒いもの、闇を表すとされています。地球に一番近い月を変化の激しい柔らかい新生したものと捉えた時に、対極にある土星を硬い物、古いもの、重いものを表すとします。このように、土星と月を比較した意味がかなり含まれています。
コールドでドライな土星は、野菜類が水分を失い乾燥すると縮むことから、収縮という意味を持ち、ここから、小さくなるという意味を持ちます。
境界という意味からは、他と遮られた状態、囲い、檻、箱、袋、コンテナ等、入れる物ともなります。それと同時に、箱やコンテナに付ける錠前、袋に掛ける紐も土星とされます。水星は、その錠前を開ける鍵、結び目を解く智慧の鍵です。
遠い天球を占める土星は、智恵の深さ、古い知恵とも捉えられました。良い土星の状態で示される智恵であると言われます。また、自制心を伴わせた知恵であることから、真面目さを示すとも言われます。黒い色を表すので、黒い服を着る職業の人は土星であるとされました。炭焼き人、修道士、僧侶などが土星です。また、土星は、夜のチャートで父親のナチュラルルーラーです。
土星は体の中では右の耳、骨格、歯、皮膚、関節、脾臓などを支配しています。消化の停滞した状態が土星で表される便秘です。それは時間がかかっている消化の状態です。土星は凶星(マレフィック)だと言われるのは必ずしも正しく無く、水瓶のサインでディグニティーを持つ時はベネフィック(吉星)として作用します。
大地を走る犬、猫、大地の中に生息するもぐら、みみず、腐食物を食べる生き物、石の下で生きているものたちが土星に支配されます。味ではすっぱい味、収斂性をもたらす味を示し、悪臭を放つ物は土星とされます。土星は、蒼玉(サファイア)、瑠璃(ラピスラズリ)、黒いオニキス(黒瑪瑙)です。
水の流れる運河が古くから土星であるとされるのは、人々が重い土を掘り、それを、時間をかけて作ったからです。その他、荒れ果てた大地、乾燥した砂地、暗い洞窟、穴を掘るので墓地、穴を掘るので水溜め場、臭い匂いのする場所、暗いので、又、穴を掘るので鉱山、大きな動物のための小屋、汚い場所、汚物の出口、排気口、排水溝、トイレ等とされます。
家庭内や、地域内を流れる水が土星だとされるのは、配管を鉛(土星の金属)に頼っていたからです。柔らかい金属である鉛は、昭和20年代まで日本でも水道の配管に使われていました。毒性を持つことで使用されなくなりましたが、水道を配管するために紀元前から重宝する金属でした。そのために、水の流れを人為的に作る人たちは土星とされたのだとの説もあります。
又、クロノス(土星)と戦ったユピテル(木星)と比較された意味合いも多く備えられています。それは、木星の項目で語りたいと思います。
ネイタル・リーディングの本 | 推薦図書 『星の階梯シリーズ』