● トラディショナルな占星術はかなり決め事をうるさく言います。そうまでして占星術を雁字搦めにしても良いのでしょうか。それとも、何でも有りの方が広がりがあって良いのでしょうか?
雁字搦めにするとしたら、何が残るのでしょう。
アスペクトやハウスやサインの意味の他にも、アンティッションや恒星の使い方があります。エッセンシャル・ディグニティーと、アクシデンタル・ディグニティーがあります。ディスポジターの把握や、リセプションを使う方法もあります。
これらのテクニックは、ネイタルでも生かされます。既にモダンな占星術をご存知の方なら、なお更しっくりと来る技術に心を奪われることでしょう。ここには探しているものがあります。
● チャートは、いきなり読み始めることはできません。ホラリー占星術に特化して話はしますけれども、幾つものこの下段にあるテクニックは、他のジャンルの占星術でも使えるものです。
チャートを観察する時に、最初の部分に属する観察が、アセンダントがカーディナルか、フィクストなのか、ミュータブルなのかです。カーディナルなサインは、物事の変化が速いものです。良くなるか悪化するかはチャート次第です。フィクストなサインは、何かが硬いことを示します。時によって、何を示すか分からない場合もあります。ミュータブル・サインは二重性を表すとされます。同時に登場する異性が二人であることもあり、違う場所で出会うこともあります。複数を示し易いサインです。
月は、どこから来てどこへ行こうとしているのでしょうか。ここでは、セパレートしてきた惑星と、アプローチをする惑星だけの観察に留めます。
それぞれの惑星達が、どのサインと、どのハウスに属しているかを把握していきます。5°ルールというものがありますから、チャートに載せられたハウスそのものでは無く、カスプよりも前のものでも、カスプに属するハウスの可能性もあります。家(ハウス)にはエントランスがあるからです。
ディグニティーの表から、それぞれの惑星が置かれているサイン位置から、リセプションを見つけ出す為にレシーブをしている惑星を見付けて書き出して下さい。この辺りから、言葉の意味もちょっと難しくなります。
アンティッションになっている惑星はないか。重要なハウスに近いアンティッションとなっている惑星を探し出します。コントラ・アンティッション。恒星とのコンジャンクションを観察します。コンバスト。月がバイア・コンバスタに入っていないか。コンバストになっている惑星等々、可能な限り客観的に捉えられるチャートの中の事実を集めましょう。
● もしも、アセンダントのロードが7ハウスに入っていたら、その人は訪ねている事柄に対して不安を抱いていることになります。8ハウスや6ハウスにも、不都合な意味がありますから、6、7、8ハウスのいずれか、アセンダントから遠い所に在ることが不安を抱かせると思われます。しかしながら、恋愛の問題では、相手に愛されていることを示しています。それでも、不安感を持つことは、事が恋愛や情事だからでしょう。誰しもが若い頃に経験する感覚です。
● 月の天球は地球に最も近いので、その物事が進展していく道程の詳細を表します。月の光が増大しつつあるなら、その物事の増大を示し、月の光が減じているなら、その物事の減じていく様子を示します。増大していく方が良い事柄、減じていく方が良い事柄、様々あります。増しも減じもしない事柄もあります。それぞれの事柄に鑑み考察を加えます。
月は他の惑星から別の惑星に、かなりの頻度でトランスファー・オブ・ライトをしています。この観察によって、いったい彼女が何を誰にどう届けているかを観察します。時には、彼女の言う事を全面的に受け入れる惑星があるかと思うと、彼女の意向を聞き届けているのかいないのか不明な感覚もあります。それをリセプションやアスペクトから観察します。
月は、セプションが無くても他の惑星の意向を別の惑星に届けています。まるで、両者の間を和解させるような動きを見せます。
彼女自身がレシーバーになることもありますが、彼女が近付いている惑星がレシーブしてくれる事が一番ありがたいことです。月が離れつつある惑星との過去のリセプションに付いても観察が必要な場合もあります。常にではありません。
ホラリー占星術では、一般にカレントの表示星の一つですから、カレント自身の意向を押しつける事はよくあることです。恋愛の問題で7ハウスで不安を抱きながらも、7ハウスのロードに接近しているのを見つければ、その恋愛にとっての大きなチャンスであることは、この事からも伺えます。
● 月が近付いている惑星によって、その物事がどう進展していくかを表します。これを知っていると、いったい何が次に起きるのか、事態の展開を予測できることがあります。常に、ではあるのですが、占い師の脳は、人生の全てを把握できるわけではありません。人生経験も要るでしょうし、発明に属する事柄なら、当事者本人にしか分かりません。
月は、一般にベネフィックに近付いているなら良きことが予測されますし、マレフィックに近付いているなら都合の悪い事柄の前兆となります。良い悪いには人それぞれ幅がありますから、一概に悪い事が極端に悪くなるわけではありません。
月が、近付いている惑星とのリセプションを観察します。そこにリセプションが有れば助けになり、そこにリセプションが無ければ、状況により良くない事が予期されます。
● 天球構造に関係しています。月は月下の世界に多大な影響力を持ちます。現実にも、潮の満ち引きや、その時の高潮など、嵐が重なると危険なことを私たちは経験をしています。月が弱くされているとか、何かによって妨害されていると(例えばコンバスト)、その通りに質問された事柄は、弱くされたり妨害をされたりします。多くの占星家達が、アセンダントのロードが悪いよりも、月が悪い方が悪い、と述べている事も頷けます。
ただ、マレフィックな惑星が6ハウスや12ハウスにあって、その位置から月をアフリクトしている場合は、その抑圧される雰囲気はそれほど強くありません。
● 月のボイドは、とても説明し難い概念です。定義と、その使い方に違いがあります。
詳しくは、月のボイドを参照のこと。実際に、気をつけていても月のボイドを見逃してしまいます。今でもです。見逃しても大差の無いチャートもありますが、判断の要になっていることがよくあります。何度も練習して、使いこなせるようにしてください。
● 惑星達は時々順行から逆行へ、又は、逆行から順行へと、動きを転換することがあります。その時点で地球から止まって見えるようになることを『留』と呼びます。順行の惑星が逆行に移る時の留を、ファースト・ステーションと呼び、逆行の惑星が順行に戻る時の留を、セカンド・ステーションと呼びます。
ファイースト・ステーションは、物事が遅れようとする、壊れようとする、何かが消失することを表します。セカンド・ステーションの方は、遅れていた物事がスピードを上げる、不服従であった事柄が服従に転じるとか、不活発、活動を止める、消極的、怠惰、滞っている、負の状態になるといったことを表すとされます。
しかし、ちょうど留にある時は、タイミングを計ることはできません。時間を示す表示はチャートの別の場所を探る必要が出てきます。又、ボクシングの試合などでは、留になっている選手は必ず負けることになります。
● 何人もの占星家が、幾つもの種類の弱い状態の事を書いています。月に付いて12世紀の占星家ボナタスは、16種類の事を書いています。
この他にも、彼女は、アセンダントが好きではありません。イレクションの時には、月のアセンダントを避けます。でも、どうしても、そうならざるを得ない事もあります。
一般に水星のサイン、水星のハウスを好みません。
〔先に、双子のサインだけが述べられています。〕
上記に述べた事柄は、幾つもの例外事項があります。つまり、必ずしもそうはならないことが多々あります。例えば、コンバストが悪いと思われますが、月が獅子のサインや蟹のサインでコンバストになっていても、それほど悪くありません。時には、良く作用することもあります。
● マレフィックな惑星達が悪さを為すといっても、常にそのアスペクトやコンジャンクションで為すわけではありません。リセプションの存在、又、マレフィックな惑星がケーダントに入っていて、その有害さを充分に発揮できない事もあるでしょう。セキスタイルやトラインでも、その妨たげを充分なものにすることが難しくなります。もちろん、セパレートをしているならば、その有害な事柄から去ろうとしていると読めます。
これは、逆に考えるとベネフィックな惑星達の良さが十二分に発揮できない場所、アスペクトもあるということになります。特にオポジションです。その他の例として、90°のアスペクトでリセプションが無い場合も、ベネフィックな惑星の良さを充分に享受できないでしょう。ベネフィックな惑星がケーダントに在る時も、期待外れの場合があります。
レッサー・ディグニティーと呼ばれる、トリプリシティー、ターム、フェースの中の2組のレシーブは、とても役に立ちます。リセプションを形成できるからです。
● ハウスの始めの方に在るということは、ひょっとしてハウスからはみ出しているのでは無いか、という懸念を持ちます。例えば、アセンダントが牡牛のサインの10°にあるとしたら、牡牛の3°にある惑星は12ハウスに入っている事になる、ということです。しかしながら、プトレマイオスに従うとそうなってしまいますが、もしも金星がそこに在るなら、私はアセンダントに入っていると見做します。この見解は占星家によって違っていて、ある人は厳密に5°ルールに従わなくてはいけないと言いますが、私はリリーと同じように、ホール・サイン方式がベースにあるから7°アセンダントから離れていて、既に12ハウスと思われる惑星でも、惑星によってはアセンダントに入っていると見做しても良いと考えます。これは、経験からです。
● 惑星は、あるサインでは高いディグニティーを得ます。一般的には、良さ⇔悪さの比較をされる結果、それは良いと言われます。もう一方に、強い⇔弱いの物差しがあり、概ねそれらはアクシデンタル・ディグニティーに関係をすると言われています。
惑星は、あるサインではデトリメントや、フォールにもなります。そのようなサインに入っていると、質問者は疲れきっていたり、積極性を欠いた状態であったりします。
良い状態の惑星とアセンダントのロードがアスペクトやコンジャンクションをしていると、良いと解釈されます。その反対に、悪い状態の惑星が、アセンダントのロードや月とアスペクトやコンジャンクションをしていると、悪くされていると理解されます。いずれも、文脈に従って読み解かれなければいけません。それほど突拍子もない判断になるわけはありませんから、常識の範囲内で読み解きます。
ペレグリンとなった惑星達は、入っているサインのロードやイグザルテーションのロードの影響を色濃く受けます。良い事も悪い事も知っていながら、狡猾さに勝るのがペレグリンですが、レシーバー次第によって受け取れる余禄が違うので、より悪くなったり、良くなったりします。
● 逆行している惑星は、一応、不従順である、反抗的である、反逆をもくろむ、元に戻ろうとする、引き返す等と翻訳されます。しかし、一方だけの惑星が逆行していても、それは必ずしも後戻りを示すわけではありません。時には、完成も示します。
リリーは片方だけの惑星に付いてとても悪く書いていますが、土星や木星が逆行しているのはしょっちゅうです。しかしながら、両方共の惑星が逆行していてアスペクトやコンジャンクションを完成するなら、それは社会に対して後ろ向きの合意を示し、いつか、時が来れば物事は完成から破壊へと向かいます。
● 惑星達は、留の後に、あるいは、留の前に、スピードを緩めて遅くなる状態になります。
● 時々チャートの中で、月が残り1°以内で他の惑星とコンジャンクションやアスペクトを完成させようとする状態が出現します。これは、月とその惑星の意味する(どのハウスのロードになった惑星なのかで判断する)事柄が起きることを意味します。ハウスの意味、アスペクトの種類、リセプション、サインの種類[カーディナル、フィクスト、ミュータブル]等から判断をします。
● 6ハウスや、8ハウスや、12ハウスは、ベネフィックな惑星が働きにくい場所です。一方、マレフィックな惑星達がサクシダントの8ハウスに入っていると、その悪意はより増すとされます。
● 惑星Aが、惑星Bのドミサイルかイグザルテーションとなるサインに入っていて、惑星Aと惑星Bがアスペクトなり、コンジャンクションを完成させるなら、リセプションを完成させます。
惑星Aが、惑星Bのドミサイルかイグザルテーションとなるサインに入っていても、惑星Aと惑星Bが、惑星Aが今居るサインから離れてからアスペクトが完成するなら、それはリセプションではありません。あくまでも、完成が為されるサイン位置での考慮を為します(下記参照)。
惑星Aが今居るサインでリセプションが見当たらなくても、惑星Aがサインを超えた所で惑星Bのドミサイルかイグザルテーションとなるサインに入り、そこでアスペクトが完成されるなら、リセプションの完成です。
● 惑星達は、オーブという光による範囲を持つと同時に、それぞれが3°以内に本体による強い境界を持っています。ザエルという占星家は、この本体の意義を充分に活用した占星家です。古くは、Kollesis(コレッシスとでも発音するのでしょうか?)という概念でこの3°が、違った概念ながら、占星家レトリウスの書くコンペンディアム(大要とか概要という意)という本に出てきます。古の占星家は、この3°という本体の周りに存在する領域をとても強い領域だと認めていました。見た限りでは、この3°の領域の定義を見た事はありませんが、3°以内が強調されることがよくあります。
すると、29°にある惑星は、既に次のサインに片足を突っ込んでいるように考えられます。しかし、ザエルはこれをコンジャンクションのみに特別に認めていたようです。アスペクトでも3°以内に意味を持つ記述は数多くありますが、次のサインに影響を及ぼすのは、アスペクトではオーブの方で考えて差し支えありません。
● 土星や火星が質問対象事項を表していても、アングル・ハウスやサクシダント・ハウスに入っていて、少々のディグニティーがあれば、何も問題はありません。高いディグニティーを持っていれば、ベネフィックであると考えてもいいでしょう。
しかし、ペレグリンやデトリメントやフォールであれば、助けとなるリセプションが無い限り、物事の行く末に暗雲を投げかけます。
マレフィックな惑星が、アセンダントのロードとスクエアで物事の成就を見せていても、リセプションが無ければ、最終的にはその完成は不完全となります。一部成就、一部成就しない結果となります。納期は間にあったけれども、不良品が数%含まれていたとかの結果になります。
マレフィックな惑星が、アセンダントのロードとオポジションで物事の成就を見せていたら、リセプションが存在していても、最終的にはその完成は不完全なものとなります。物事は完成したのに、完成しなければ良かったのにと後悔をします。例えば大学の入試試験で合格を果たします。しかし、大学に入ってから「ここには、私の学びたい事が無かった。別の所に有る」と、気付くようなことです。恋愛の質問であれば、「この人では無かった」と付き合ってから、又は、結婚をしてから気付く時です。それが、オポジションです。
● 火星や土星がアングルにあっても、彼らとアセンダントのロードがスクエアやオポジションのアスペクトに成っていなければ、ほぼ大丈夫です。悪さをしません。コンジャンクションは、リセプション次第なので、何処に入っているからと言って確定した事を言えません。特に、アセンダントの中でマレフィックとコンジャンクションしているのは、リセプションですから、それほどの悪さをしないでしょう。
スクエアでも、時にリセプションを生じますから、時には悪意を軽減させます。
● ディグニティーを持っているか、助けとなるリセプションが無い限り、予期される未来の兆候に暗雲を投げかけます。マレフィックな惑星は、ケーダントが活躍の場です。フェースのディグニティーであっても、無いよりはましになります。
● 火星は、滅多にトランスファーをしませんし、コレクションも行いません。それでも、たまたま、火星が仲介者としてチャートに登場すると、物事は完成へと向かいますが、どこからかの誹謗中傷によって、最終的には破たんをきたします。それは、完成以前かもしれませんし、完成後かもしれません。
● マレフィックとベネフィックのアスペクトでは、土星は木星によってしか、完全にその悪意をぬぐい去ることはできません。土星の悪さが減じると同時に、木星の良さも減じられます。
火星は金星とまるで対になったような惑星同士です。ある意味で、悪意と善意を中和します。ディグニティーの高い火星は、アングルやサクシダントにあるとベネフィックに等しいものです。しかし、ディグニティーの低い火星なら、ディグニティーの高い金星や木星が、その悪さを中和できます。
● 注意しなくてはいけないことは、ベネフィックな惑星が質問事項になっていて、ケーダント・ハウスにあってディグニティーを持たず、レシーブされている惑星との間にリセプションも無い時です。これは、その惑星がマレフィックに変わったと言っても構いません。
● マレフィックは、アセンダントを見る事のできるハウスに入っていて、もし、ディグニティーが無くても、同じ性質のサインに入っていれば(例えば、コールドでドライな土星が、コールドでドライな牡牛のサインに入っている等)、その有害な性質を減じるので、その観察を怠らないようにしなくてはいけません。
同じような事がベネフィックにも当てはまります。表示体となったベネフィックが、ディグニティーが無いはずなのに同じ性質のサインに入っている事は好まれることです。月が、魚のサインに入っているような時に、それは幾分良いと書かれている書物もあります。この事です。
● 物事の完成が、阻まれつつある場所です。ここから、コンバストに入る、あるいは、コンバストから去ってきたという違いは、もの凄く大きなものがあります。どんどんコンバストに近付く事はよくありません。特に、表示体となった惑星がアンダー・ザ・レイ(サン・ビームスと同じ)にあって、コンバストに近付いているなら、最終的な完成にひびが入ります。何かが不足します。必要な物が欠けます。
コンバスト(太陽とのコンジャンクション)に近付いている惑星に対して、アスペクトを完成するというのはあまり旨くありません。コンジャンクションはアスペクトを取り消しますが、アスペクトはコンジャンクションを取り消さないからです。ここに、明確な、アスペクトとコンジャンクションの違いがあります。
ベネフィックがその良さを取り消されるのがアンダー・ザ・レイですから、マレフィック達もその悪さが消されます。もし、マレフィックが質問事項の表示体であったならば、別の意味の都合の悪さが出てきます。
タイミングを示す表示体としての月と太陽がコンジャンクション(コンバスト)するのは、タイミングの表示です。物事は完成します。
● ディグニティーの無い質問に関係のある表示体となったベネフィックは、その位置がアングルにある、昼の惑星で地平線上に昼間ある、夜の惑星なら夜に地平線上に夜ある、同じ性質のサインに入っている、アセンダントにアスペクトを持つ事ができる、もう一つのベネフィックからアスペクトをもらっている、ヘッドとコンジャンクションをしている、等々の場合は、決して最悪の状態ではありません。
同様に、マレフィックであろうとも、ディグニティーを持ちながらアセンダントとアスペクトを取る、同じ性質のサインに入っていてアセンダントとアスペクトを持つ、ヘッドとコンジャンクションをしている、昼なら昼に適切な場所にある、夜なら夜に適切な場所にあることで、決して最悪の状態になりません。
ネイタル・リーディングの本 | 推薦図書 『星の階梯シリーズ』