● ほぼ全てのチャートはカレントをアセンダントにして読み解かれるわけなのですが、極めて稀に、少数のチャートだけが、本来7ハウスと考えられるものをアセンダントに当てはめてチャートを解釈します。
習いたての頃は、先生のジョン・フローリーに「この方法は注意して使いなさい」とだけ伝えられ、知らなくても大丈夫であろうとさえ思いました。つまり、一般的な手法だけを履修していれば、全てのチャートは解決できるのだと考えていたわけです。しかしながら、この手法が極めて大事であることに気が付いたのはフローリーのコースを卒業してから7年も経ってからのことです。
その質問とは、
「私のつれ合いは、浮気をしていますか? ・・・」
です。
全ての浮気の質問にこの手法が使えるかというと、使えるわけではありません。その底には、ある感覚が流れているのです。アセンダントを通常のカレントにする場合と、アセンダントを伴侶にする場合の明確な区分があります。
残念ながら、現在の所、それを言葉で言い表すことはできません。こういう場合にはこうなのだと練習をしてもらうしかないのです。アセンダントをカレントにした時と、アセンダントを伴侶にした場合に答えが真逆になる事もあります。
これを間違えてカレントに伝えたとしたらどうなるでしょう?
「はい。あなたの奥さんは浮気をしていますよ!」
家庭の崩壊の原因を、占い師が作ってしまいかねません。
● リリーはこの判断方法を「Christian Astrology」以降C.Aの312p辺りから始めています。優しく書いていますが、非常にハードです。理解しがたいのです。ある一説によると、そのようなチャートは生命を吹き込まれるから一種の生き物のような命があり、それゆえ、この解釈の手順が成り立つなどと述べられます。しかし、全てのチャートは命を吹き込まれた人生の縮図として登場するわけです。何も、この手のチャートに限っていません。
しかし、何らかの相違が、他の質問との間にある事は確かなのです。どのような違いがあるかを古代の占星家達も明確に書いているのを見ません。しかしながら、同じような手法を古代の占星家の各人が載せています。これによって、昔から存在している方法であることが分かります。又、どのような場合に適用するのかを明確にしていないことから、私たちも迷うことになります。
ウィリアム・リリー(William Lilly)のC.A ブックII、312p-316p
リリーは313pのタイトルの下にいきなりアセンダントのロードと月を観察せよと書き出します。そのタイトルは
『Of a woman whether she be corrupt, or has a Lover besides her Husband or sweetheart.』
「女が不正を為しているかどうか、又は、彼女の夫や恋人に内緒の愛人を持っているかどうか」
です。そして、書きます。
Behold the Ascendant and his Lord, and the Moon,…
アセンダントとそのロードと月を注視せよ…
グイド・ボナタス(Guido Bonatti)の「Book of Astronomy」(ベンジャミンJ.ダイクス、PhD翻訳) ボリュームI、論文6「数々の質問」、第4章と5章440p-446p
「The Book of Nine Judges」(ベンジャミンJ.ダイクス、PhD訳)の結婚の章から、§7.14 ザエル(Sahl)にも同様の論旨から書かれた物があります。
ザエルのものもほぼ同様に、女性の純潔について尋ねられたならば、アセンダントのロードと月を頼れとあります。この判断では、火星も重要な惑星となります。
古代の本は全て女性に付いての質問が書かれているからといって、女性からの質問、「彼は浮気をしていますか?」に焼き直せない事はありません。手法が男性用と女性用に変わっているという事ではないのです。手法が違うのだったら、それを両方載せているはずです。使う星が若干違うだけです。手順は同じで、アセンダントのロードと月を、浮気をしているかもしれない男性(女性)に当てはめていきます。
始めに付け加えたように、全ての「浮気をしているかもしれない伴侶」の為にこの手法が使われるわけではありません。浮気の判断を、アセンダントをカレントとして判断するチャートも当然あります。
ニュアンスは質問が放っています。
元に戻って、恋愛のチャートの判断では、幾つかの例外が確かにあります。この結婚は正しく為されるのかと問われた場合に、金星を結婚のルーラーとして判断するようなものもあります。金星は、一般的に恋愛の質問では、男性側にいるかもしれないもう一人の別の女性を表わすことになっています。質問に依存するホラリー占星術の特徴として、これらの質問に限っては、金星は結婚を示すものとして除きます。
まだまだ探せば例外のように思える数々の事柄があるのです。実例。
ネイタル・リーディングの本 | 推薦図書 『星の階梯シリーズ』