ネイタルチャートを基礎として、今この時の、病気の診断ができるのか否かというと、否でしょう。ネイタルのチャートは、大まかな人生で罹るであろう大きな疾患に対して有効であって、当然のように、今日の歯の痛みや、今日の頭痛に付いて、必ずしも診断が可能ではらいません。
プログレスにしても、今日の頭痛は、既に何年も前に始まっている目の疲れに起因するのか、昨日感染したインフルエンザによるものかの判断はできません。トランジットはより有効であるかもしれませんが、今日の頭痛に対する診断法のその技術は、まだこの世に確立されてさえいません。トランジットは、とりも直さず、ネイタルと今日の今の瞬間、すなわちホラリーを組み合わせ、アセンダントを出生のネイタルのものにして判断する方法ですが、そのような方法を見たことはありません。技術が確立されていないのです。
今日まで確立されてこなかった、ということは、やたらと難しい占星術のようです。並の頭で判断できるかどうかさえ分かりません。一方にホラリーという優しい占星術があるのですから、私はそちらの道を選びます。私は並以上の頭を持ち合わせてはいないからです。多くの占星家が、謙虚であったと感じさせるエピソードです。
リリーの書いたC.Aの、The Resoliu(v)tion of all manner of Questions の6ハウスの項目は、とても分かりにくい文章です。「簡単に書くと、こういうものだよ」と述べながら始まる243pののっけから、相当な読書量を背景に求めています。
1.患者がちょっと不都合を感じた時間を選ぶのでは無くて、もうベッドに入って休まなくては、あるいは倒れ込むようにして臥せった時間を取るんだよ。となっています。
これはホラリーではありません。そんな時間を誰も知らないでしょう。横臥した時間を元に立てる、デカムビチャー・チャートと呼ばれるイベント・チャートが出来上がります。ホラリーでは読めません。イベント・チャートなのです。
2.そんな時間を忘れているか、探し出せなかったら、検尿するための尿が持ち込まれた時間をもってチャートを立てろ。と言います。さて、今日、占星術師の中の誰が、検尿を前にしてチャートを立てるでしょうか?
現実的ではありません。
ということは、これも利用できないようです。じゃあ、次に期待します。
3.そのような時間も得る事ができなかったら、「医師」は患者と始めて会話した時間を選べ。患者が話せない場合もあるだろうから、その時は検尿を始めてした時間を選べ。etc.
あれ? まぁ。医師でないとこれもできません。
ここから、1ハウスと1ハウスの中にある惑星を観察せよ。
6ハウス、6ハウスの中にある惑星を観察せよ。
と続いて行きます。
そこから考えると、6ハウスは病気のハウスだとなるはずです。
でも、これらの手順は明らかにイベント・チャートのことを書いています。
医療のホラリーでは6ハウスは病気のハウスでは無いよ、ということと矛盾します。そう、イベント・チャートでは6ハウスは注目すべき場所だけれど、医療をホラリーで判断する場合には、違うアプローチをするのです。
※ プログレス
プログレスは、比較的新しい技術です。プライマリー・ディレクションという言葉と区別する為に生まれした。プライマリー・ディレクションという技術はありましたが、言葉はありませんでした。新しい技術であるセカンダリー・ディレクションと区別するために、(プライマリー・ディレクションという読み方も)生まれました。
セカンダリー・ディレクションの創始者であるプラシーダスは、太陽と月にだけプログレッションを適用したようです。
ネイタル・リーディングの本 | 推薦図書 『星の階梯シリーズ』