冥王星

新聞によると、国際天文学連盟(IAU、本部パリ)は2006年8月16日新しい惑星の定義を確立するための審議に入りました。その定義(案)によると、「惑星とは自己の重力で球形を作り。恒星の周囲の軌道を回る天体で、直径800Km以上が目安。」ということでした。

 

この案で行くと、太陽系には、水星、金星、地球、火星、ケレス、木星、土星、天王星、海王星、冥王星、カロン、ゼナ、という12個の惑星が定義されることになったはずです。

 

すると星占いで使えるのは、月と太陽を入れて地球を抜くと13個になります。サインの数を超えていたはずです。いやいや、蛇使い座があるじゃないですか。13サインと、13惑星になったはずです。
 
天文学の発達に準じて「占星術は変わっていかなければいけない」という大義名分を持つ考え方はどう追従していたことやら。。。

 


その後、国際天文学連合(IAU)での会合が続いていきます。
 
話は変転しながら、惑星の定義が変化していき、冥王星が格下げされる案が有力になって行きます。
 
目に見えない惑星が増えようが減ろうが、占星術にとってはどちらでもいいのです。本質を七つに分けて考えるのが占星術です。なぜ七つか? 虹の色が七色だからです! いえ、見える惑星が五個と、太陽と月を入れて七つだからです。

占星術の古い文献を調べても、どこにも「七つの惑星を使う」という定義そのものがありません。でも、それは七つなのです。古代から惑星の天球は七つでした。その「7」を使って本質を振り分けてきました。土星には境界・限界という意味があります。それは常時目に見えて動く惑星の「天球」と、止まっているように見える恒星の「天球」との境界があると考えたからです。
 
このように「天球」というものを大切に考慮する占星術において、境界という意味が、一度でも海王星や冥王星にもたらされたことがあったでしょうか?  惑星の境界も土星が限界でした。
 
当初の惑星の定義(案)、「直径800Km以上を目安とする」を当てはめていくと、惑星が50個前後にもなるということが分かってきたため、惑星の定義が急きょ変更されたようです。
 
2006年8月24日、IAUの総会で冥王星は惑星から外されました。惑星では無くなったのです。矮惑星という名前が与えられましたが日本では準惑星という言葉が用いられそうです。(同時に小惑星という定義も無くなりましたが、番号として小惑星番号が冥王星に与えられていて小惑星134340と決定)
 
IAUで議論がされて良かったです。夏休みの宿題を片付けたようなものですね。ようやく占星術に光がよみがえる瞬間でした。
 
なにをとぼけた事を? いえいえ、モダンな占星術の世界にも少しずつ動きはあるのですが、サインのルーラーを古典的なものに戻そうという動きを加速させるきっかけになるので充分にインパクトのある出来事でした。
 
古典の理論に帰って来る。めでたし。